codomoマーケット

あきる野から全国へ!
使うお金は本物のニホンギンコウケン
こどものワクワクを最大限に引き出す、こどもによる、こどものためのcodomoマーケット

2021年12月4日、日の出イオンモールのあるイベントホール。
ドアの前には、久しぶりに開催されるcodomoマーケットの開始を、今か今かと待ちわびるお客さんたちのながーい列ができていました。
「♪♪こども  コドモ  こ・ど・もー codomo マーケーット♪♪」
軽快なギターのリズムに乗って、粂川拓也さん、こと、タクちゃんの歌声が、高らかにホールに響き渡り、待ちに待った開催の合図。
待ってました!と言わんばかりに、この日のために集まったお客さんたちが会場内に流れ込みます。

 

2年ぶりに開催されたcodomoマーケットは、前回よりも格段にパワーアップした子どもたちの自慢のお店が並び、この日を楽しみに待っていたお客さんと売り子の子供たちの歓声と熱気、そして、みんなのキラキラと光り輝く笑顔で溢れていました。
下火になってきたとはいえ、まだまだ”コロナくん”の影があちらこちらに見え隠れするこの時期の開催に、躊躇もあったという主宰者の粂川拓也さん。

 

そんな心配もなんのその、蓋を開けてみれば出店者の40組の枠は募集開始後、すぐに満員に。
その後も問い合わせの電話が鳴り止まない、という盛況ぶりでした。
2021年12月の開催で9回目を迎えたcodomoマーケット。
今回のcodomoマーケットに出店した子供たちの約半数が、過去に出店を経験しているリピーター。
さらにそのリピーターの3割以上が、5回以上の参加経験を持つ子供たち。
そして、参加した子供たち、保護者たちの9割以上が開催後のアンケートで「満足!」「また参加したい!」と答えていることからも、このcodomoマーケットがたくさんの子供たち、保護者たちから熱烈な支持を集めているイベントであることが、よくわかります。
参加した子供たちを虜にするcodomoマーケットの最大の魅力。
それは、過去の開催の中で考えに考え抜かれた「自発的に取り組むことを促す、子供たちが燃えに燃える設計」にあるのです。

使うお金は本物の「ニホンギンコウケン」

codomoマーケットで子供たちが扱うのは、本物のお金、「ニホンギンコウケン」。
子供たちにとって、今後、一生お付き合いしていく「お金」に対する第一印象が大切、と考えた拓也さん。
お金は苦労して稼ぐものではなく、「楽しく稼ぐもの」というスタート地点を子供たちにプレゼントしたい、という想いから、あえて実際のお金を使ってやりとりする今のスタイルを考えました。

大人たちが目の色を変えて欲しがる「お金」という不思議な存在。
codomoマーケットでは、自分たちのお店を切り盛りする中で、この「お金」のリアルに触れ、自分で価格を決めたり、お客さんにお釣りを渡したりする様々な経験を通じて、自発的に「お金」について学び、お金のよい面も悪い面も経験するまたとない貴重な機会を得ることができるのです。

そして稼いだお金は、お父さんお母さんに渡すのではなく、全て自分のもの。
自分が頑張った分だけ、自分で自由に使えるお金が増える、というこの独自のルールが、子供達のモチベーションに火をつけます。

codomoマーケットで自らゲットした尊いお金の使い道は実に様々です。
自分の欲しいおもちゃを買ったり、おいしいものを食べたり、次回の出店の運営資金にしたり。
中には、「今日はガストで私がおごるよ!」と、一緒にお店を開いた同志であるお母さん、お父さんに、ご飯をご馳走してくれるお子さんも。

手にしたお金をどのように使うのか。
そして、使ったお金はどんどん減っていく。
もっとたくさんのお金を得るには、次のお店でどんな工夫をすればよいのか。

codomoマーケットが終わり、家へ向かう車の中から、次の出店に向けての子供達の作戦会議は始まっているのです。

「おじぞうさん」に徹する

子供たちが自発的にcodomoマーケットに関わる仕掛けは、お金以外にもたくさんあります。

その中の一つが、子供たちがワクワクする「codomoマーケット」という場所を、大人も一緒に作りあげること。

現在は、出店者を小学生に絞って開催しているcodomoマーケット。

小学生といっても、1年生と6年生では、持っている知識も、一人でできることにも大きな差があります。

そこで登場するのが、彼らをサポートするお母さん、お父さんの存在。

そして、実はこの場に関わる保護者にこそ、このcodomoマーケットは貴重な学びの場ともえいるのです。

codomoマーケットでは、準備の段階からお母さん、お父さんが子供たちと大いに関わり、楽しみながらお店を作ることを歓迎しています。

ただし。

あくまで、子供のワクワクを邪魔せず、「サポート役」に徹すること。

そして当日は「おじぞうさん」となり、お店に立つ子供たちを後ろから優しく見守る存在になること。

ついつい手を差し伸べたくなる衝動を抑え、子供達の自主性に任せ、失敗も成功もあたたかく見守ること。

これが親としては本当に難しい。

転ぶのがわかっていたら、ついつい手をひっぱりたくなる。

「その方法じゃダメじゃない?こっちの方がいいんじゃない?」と、口を挟みたくなるのが親心。

そんなお母さん、お父さんにとってもこのcodomoマーケットは、普段の日常生活の中ではなかなか味わえない「修行の場」でもあるのです。

娘さんと一緒に数回出店したあるお母さんは、回を追うごとに、想像力がどんどんと膨らみ、次々と新しいアイディアや工夫を考え出す娘さんの姿に毎回驚かされます、と語ってくれました。

もともと、「石橋たたいて渡る」派であり「転ばぬ先の杖」として親の役割を考えていたそのお母さんは、成長していく娘さんの姿を見守るうちに、むしろ親が関わらない方が、子供たちが生き生きと輝くことに気づいた、と言います。

codomoマーケットは、子供たちが主役の場です。

いつもは口うるさいお母さん、お父さんが、codomoマーケットの時は自分たちの意見を真剣に聞いて、ニコニコと応援してくれる。

自分の実力を安心して発揮することができ、自らチャレンジできる最強の環境。

それが、codomoマーケットなのです。

本物のお金を使い、子供が完全に主役となる場を、大人たちも一緒になって作り出すこの画期的なイベント。

アイディアの種は、拓也さんのある体験から受けたインスピレーションでした。

「助けて下さい!」と声をあげること

今から4年前、拓也さんの経営する、東京都あきる野市にあるOWNPで開かれた「えんとつ町のプペル」光る絵本展。

当時、あきる野に越してきたばかりの拓也さん、そしてパートナーの有歌子さんご夫婦が一念発起して開催権を獲得したこの絵本展は、準備段階から行き詰まってしまいます。

身動きがとれなくなった拓也さんは、迫り来る開催日に焦りつつ、腹をくくり、自ら頭下げて「助けて下さい!」と周囲に呼びかけたのです。

これが功を奏し、結果としてたくさんのボランティアさんに助けられて、絵本展は大成功に終わります。

自分が旗振りをしたことを成功させるために、なりふりかまわず周りに助けを求める、というこの経験は、拓也さんにとってはとても勇気のいる行為でした。

しかし、その経験から、人のあたたかさを知り、周りの人に助けてもらいながら一つのものを作り上げていくことの素晴らしさを感じた、原点とも言える体験でした。

主催者としてのこの経験を、ぜひ他の人たちとも共有したい、という思いが、codomoマーケットの全国展開を考えるきっかけにもなっていくのですが、それは後ほど詳しく触れるとして。

codomoマーケットを語る上で欠かせないのが、光る絵本展の会場出口に、ある日突然現れた小さなお店。

当時2年生だった拓也さんの息子さんが、机や椅子を持ってきて、家にあったお菓子を「1個100円」で売り出すという、まさに人生初のお店屋さんを開くのです。

最初は、「うちにあるお菓子を勝手に持ち出して、なにやってくれてんだー!」と思っていた拓也さんも、自分なりに試行錯誤しながら、お菓子を売るためにいろいろな工夫をしている息子さんの姿を見ているうちに、

いや、これはおもしろいぞ。

と見守るようになり、そこからcodomoマーケットの発想が生まれるのです。

 

codomoマーケットが大切にしていること

息子さんの小さなお店からヒントを得て始まったcodomoマーケット。

その記念すべき第一回目は、拓也さんの経営するアクセサリーショップで開催されました。
最初はアットホームな雰囲気で、数組の親子から始まったこのイベントは、あれよあれよの間に沢山の親子を巻き込んで、どんどんとその規模を広げていきます。
コロナ禍で一端は中断したものの、今や年2回、場所を日の出イオンモールに移して、総勢40組の親子が参加する大きなイベントに発展しました。
そして規模は大きくなっても、codomoマーケットで拓也さんが大切にしていることは、4年前と変わっていません。

 

 

子供たちのワクワクが炸裂して、笑顔が溢れる場所であること。
子供たちが勇気を出して「大人のリアルな世界」へ、一歩を踏み出せる場所であること。
人の優しさに触れ、成功も失敗も、安心して経験できる場所であること。

 

 

そんな場所を大人たちが一緒になって作り上げていくcodomoマーケット。
この優しく開かれた場所で、子供たちは人に言われるのではなく「自分のやりたいことを自分で決めて実行する」ことの楽しさ、面白さを体験します。
そして、そこに関わる大人たちとのやり取りの中で「世の中って優しい」と感じ、「人を好きになる」体験を深めていくのです。
そしてcodomoマーケットを語る上でもう一つ、欠かせない要素が保護者でも主催者でもない、第三者の大人の関わり。

codomoマーケットの運営にあたっては、ポスターやシールを作成する人、会場の飾り付けや受付を担当する人、当日の写真を撮る人、グループリーダーとして盛り上げ役を担う人など、影ながらこのイベントを支えてくれるボランティアさんたちの存在が欠かせません。
また、ボランティアさん以外にも、このイベントを応援してくれる日の出イオンモールをはじめ、協賛してくれる企業さんから子供たちにプレゼントをいただいたりと、たくさんの方々に支えられてこのイベントが成り立っているのです。
codomoマーケットでは、そんな第三者の関わりによってこのイベントが成り立っていることを、丁寧に子供たちに伝えます。

イベントが終わると、子供たちがボランティアさんに「ありがとうございました!」と気持ちよく挨拶している姿があちらこちらで見られるのも、このイベントの素敵なところ。

 

 

自分たちだけではなく、たくさんの人に支えられていることを子供たちにも実感してほしい

 

 

そんな想いも、このcodomoマーケットには込められているのです。

あきる野から全国へ!

初めての開催から4年が経ったcodomoマーケット。
そして2022年、ワクワクがたくさん詰まったこのイベントは、新たなフェーズを迎えようとしています。

今までは拓也さん主催で、あきる野のみで開催してきたcodomoマーケット。
今後は全国のお母さんたちに呼びかけ、あきる野以外の場所でも「codomoマーケット」の旗を一緒に掲げ、この素敵な場所を作ってくれる仲間を募集していくのです。
その第一弾として、2019年には主催者を拓也さんから、codomoマーケットの常連さんであった中島麻美さんにバトンタッチして、初の「お母さん主催」によるcodomoマーケットが開催されました。

あきる野に引っ越してきたばかりで、友達もほとんどおらず、右も左もわからなかった麻美さんは、拓也さんの突然のオファーに最初は戸惑いを隠せなかったと言います。
しかし、人から声をかけてもらえることはありがたいこと、自分にとっても自分を変えるよいチャンスだ、と前向きに捉え、ドキドキしながらこの大役を引き受けたのです。
拓也さんの心強いサポートはあったものの、始めてみると本当にわからないことだらけ。
さらには仕事をお願いできるような親しい友人もいない状況。
そんな中でついに勇気を出して声をあげた麻美さん。

 

 

私、なんにもわからないのですけれど、よろしくおねがいします
わかりません、ごめんなさい、みなさん手伝ってください

 

あれ?この感じ、前にもどこかで目にしたような。。。

そうなんです、拓也さんが光る絵本展で、苦しい中で腹を括り、周囲に頭を下げてお願いした「助けてください!」のあのフレーズ。
麻美さんもまた、自分が主催者としてみんなを引っ張っていく上で、奇しくも同じ体験をすることになったのです。

そしてこの経験こそが、拓也さんがcodomoマーケットを全国に広めるにあたり、お母さん、お父さんたちにぜひとも体験して欲しい、と感じている大切なポイントでもあります。

自分を中心に具体的なコミュニティを作る中で、「困った!」「助けて!」と自ら声をあげて、勇気を出して助けを求める。
そしてそこにある、優しい世界に気付き、主催するお母さん、お父さんたちにこそ、笑顔になってほしい。

子供たちの笑顔を支えているのは、実はお母さんたちの笑顔。
子供たちがキラキラと輝きながら毎日を送るためには、まずお母さんたちが笑顔で、輝いていることが何より大切なこと。

そんな思いから、拓也さんは一人でも多くのお母さんたちに、codomoマーケットに関わってほしいと、願っているのです。

上手にできなくてもいい。たくさん失敗してもいい。
まずはお母さんたちが一歩、勇気を持って踏み出し、成功も失敗もたくさん経験した上で、自分が中心となり、仲間と一緒に何かを作っていく感覚が面白い、気持ちがいい、と気づいて欲しい。
そんなことを感じてくれたら、と拓也さんは語ります。

codomoマーケットの先に目指すもの

odomoマーケットの全国展開に向けて、運営側としても万全の準備を整えてきた拓也さん。
運営マニュアルを作ったり、お母さんたちのサポート体制を考えたり。
そして、拓也さんがcodomoマーケットという素敵な場所を全国に広げていく先に、目指している形があると言います。
それは、全国のcodomoマーケットの主催者のお母さんたちと繋がるネットワーク。
それぞれの地域でcodomoマーケットの運営に名乗りをあげてくれたお母さんたちと、拓也さんで作る新しいコミュニティ。

その先には、codomoマーケットという枠に止まらない、新しい形の様々なイベントも考えているという拓也さん。
例えばサマーキャンプ。
みんなで山の中をハイキングしたり、川で水遊びをしたり、キャンプファイアを囲んで歌ったり、踊ったり。

子供達が本来の輝きを取り戻し、キラキラしている場を、codomoマーケット以外でもたくさん作ること。

子供たち一人一人が、そのままの自分でいられる、よそいきではない、がんばりすぎない、隠れすぎていない、その子の個性を安心してさらけ出せる世界。
そして、そんなキラキラした素敵な世界を、お母さんたちと一緒に作ることが、拓也さんにとっての次なる目標となっているのです。

 

「きみの人生初のお店を出してみないか!?」


そう呼びかけるcodomoマーケットの先に広がる世界には、子供たちとお母さんたちの笑顔が溢れる、新しいステージが待っているのです。